2025年になりました。この記事を読んでいただいている皆様、どうぞ今年もよろしくお願いします。さて、新年1発目の記事は三陰交についてまとめてみました。
三陰交(さんいんこう)は、東洋医学の中で非常に重要な経穴(ツボ)として知られています。特に女性の健康管理や全身調整において欠かせないポイントとされ、多くの鍼灸師が日常の施術で活用しています。このブログでは、三陰交の位置、効能、施術方法、そして鍼灸師が現場で活用する際の具体的なケーススタディについて詳しく解説します。
三陰交の基本情報
三陰交の経絡
三陰交の経絡は、足の太陰脾経(あしのたいんひけい)です
足の太陰脾経は足の親指の内側から、脇にかけて流れる経絡を指します。三陰交は足の太陰脾経の6番目に該当するツボになります
三陰交の位置

三陰交(さんいんこう)は内くるぶしの上約3寸(約指3本分)にあり、脛骨の後縁に位置します。

ここで言う「上」とは膝の方向をいい、「後縁」とはふくらはぎの方向を指します。
三陰交の刺激で禁忌なとき:
三陰交は、妊娠中の女性には特定の状況で刺激を避けるべきとされています。



なんで、妊娠中は三陰交を刺激したらいけないの?



いろいろな説があるけど、早産や流産の恐れがあると言われています



それは、こわいね



うん、三陰交を刺激することで、子宮収縮が誘発される現象があらわれます。子宮が収縮すると、胎児を産む方向に刺激が入るのことになり、結果的に早産や流産のリスクを高める可能性があるんだ



ただ、これを逆手にとって、予定日になっても陣痛が発生しないときとか、陣痛が始まってもなかなか出産に時間がかかるときに、三陰交を刺激することで、出産に対する良い刺激になるとも言われるんだ



妊娠中は専門の先生に相談して、ツボ刺激を考えていこう!!
三陰交の特長と効能
三陰交は、脾経、肝経、腎経の3つの陰経が交わる場所です。このため、以下のような幅広い効能が期待できます。
婦人科疾患の改善
三陰交は特に女性の健康に関連する効果が高いとされています。
- 月経不順、月経痛
- 更年期障害
- 不妊症
これらの症状は、多くの場合、肝・脾・腎の機能不全やエネルギーの滞りが関与しています。三陰交への刺激によって経絡の流れを改善し、ホルモンバランスを整える作用が期待できます。
消化器系の不調の緩和
脾経に属する三陰交は、消化器系の働きを調整する効果もあります。食欲不振や胃の不調、下痢、便秘など、消化器系のトラブルに対して有効です。
心身の調整
三陰交は全身のエネルギーバランスを整える経穴でもあります。ストレスや不眠、倦怠感など、精神的な不調にも効果が期待でき、リラクゼーションの目的で使用されることも多いです。
循環器系のサポート
冷え性やむくみ、血行不良の改善にも役立ちます。特に女性に多い末端の冷えには、三陰交への定期的な刺激が効果的です。
三陰交の施術方法
鍼(はり)によるアプローチ
鍼灸院にいくと、三陰交に対して鍼を使用する場合があります。鍼の刺激は注射のような強い痛みはありませんが、”響き”という独特の感覚があります。両足の三陰交に”響き”を感じるような刺激をしてもらって体質改善をしていきます
温熱によるアプローチ
足首から先を温めることは、末端の血流改善がされ、免疫力の向上が期待されます。そのなかでも灸は三陰交の温め効果を高めるために非常に有効です。
皮膚の強さや冷え性の体質などを考えながら、熱いけど気持ちがいいと感じる程度の刺激を与えていくようにしましょう
手技療法によるアプローチ
指圧やマッサージも三陰交の刺激には効果的です。特にセルフケアとして患者に推奨することもあります。
親指で、ゆっくりと圧を加えて2〜3分程度刺激するようにしましょう
【背景】:20代女性、出産予定日になっても陣痛の目処が立たず、三陰交を円皮鍼を貼り、自分でも適度に指圧を加えるように指導した結果、翌日に陣痛が始まり、無事出産を迎えた
*今回の症例は、1つのみになるので、タイミングの可能性もあり、確かな実績とは言えないが、患者様からは大いに喜んでもらえたものとなりました
セルフケアとしての三陰交の活用
患者自身が自宅でケアできる方法として、以下を指導します:
- お灸
- 市販のお灸を使い、三陰交を温める。
- 1回5~10分程度。
- マッサージ
- 入浴後などリラックスした状態で行う。
- 毎日2~3分刺激する。
- ストレッチ
- 足首を回す簡単な運動も、三陰交の血流促進に効果的です。
三陰交と相性がよいツボ
太谿(たいけい)
太谿は腎経の原穴であり、腎のエネルギーを補強します。三陰交と組み合わせることで、腎・脾・肝の全体的なエネルギーバランスを整え、冷え性やホルモンバランスの乱れに対して高い効果が得られます。
血海(けっかい)
血海は脾経の重要な経穴であり、血液循環を促進します。三陰交とともに使用することで、月経不順や月経痛などの婦人科疾患に対する治療効果が向上します。
合谷(ごうこく)
合谷は手陽明大腸経の経穴ですが、全身の気の流れを調整する働きがあります。三陰交と一緒に使用することで、ストレス緩和や全身の調和を図ることができます。


気海(きかい)
気海は任脈上にあり、エネルギーを補充する効果があります。三陰交と組み合わせることで、疲労回復や消化機能の改善に役立ちます。
最後に、、、
いかがでしたか?三陰交は、女性の健康管理から全身調整まで幅広い効果を持つ経穴です。鍼灸師として、その特性を深く理解し、患者一人ひとりに最適な施術を提供することが重要です。また、セルフケアの方法を指導することで、患者の日常生活の質を向上させるサポートができます。三陰交を活用して、より多くの患者が健康な生活を送れるよう尽力しましょう。