「出産前と比べて、体の不調が多くなった。」
出産をご経験をされた方にはこのような経験をされた方も多いのではないでしょうか?
出産という大きな仕事を終えた女性の体には、ホルモンバランスの乱れと骨盤の崩れがあると言われます。
私たち整骨院で働く立場においてもこのようなお声をいただきます。
出産後の骨盤が気になるから見てほしい
出産後に骨盤を手入れしないと後で大変なことになるの?
モデル雑誌に載っていて、産後の骨盤矯正をしてほしい
昨今では、インターネットや雑誌、テレビでの影響もあり、産後に骨盤矯正をするのが良いと考えてくださる方が多いのかと思います。
そこで今回は、たな骨グループで産後の骨盤矯正についての色々なことを書いてみました。
長編になりますので、3部に分けて作成しています。是非とも気になる点を見つけて参考にしてもらえたら幸いです。
では、始めていきましょう
なぜ、出産時に骨盤が開くの?
これは、生理的に赤ちゃんが出てくるためです。赤ちゃんの頭の横幅は直径で10センチ、周囲でも約40センチ近くあります。
● 直径10㎝のものはこんなものがあります。
1、官製ハガキの横幅
2、2リットルのペットボトルの横幅
などがあります。
普段から骨盤がここまで開くことは出来ません。女性はホルモンの影響を受けて、骨盤の関節が緩み骨盤が開くのです。
そして、分娩時に骨盤が最大に開きます。これにより赤ちゃんが母体を通るためのスペースが生まれるのです。
骨盤は分娩後に元の状態に戻りますが、一部の女性では、骨盤の緩みや開きが元に戻らず持続的なものになることがあります。
骨盤が元に戻らないのはなぜ?
産後に開いてしまった骨盤は、骨盤を閉めるインナーマッスルの力などによって徐々に元に戻ろうとします。そこに『とこちゃんベルト』などを使い、骨盤を閉めて、元の位置に戻します。
※トコちゃんベルトはこのような商品です【参考:トコちゃんベルトの青葉 様 HPより】
しかし、骨盤を閉めるインナーマッスルが弱かったり、出産後の生活で腰を中心とした下腹部に負担がかかる生活をおこなってしまうと、骨盤にズレが生じ、正常のポジションに戻っていない状態になります。
これらをすることにより、結果的に骨盤が戻らない環境を自分で作ってしまっていると考えます。
骨盤が開いたままならどうなるの?
ところで、骨盤が開いた状態でどんなことが起こるの?
骨盤が開くことで、体の構造が崩れます。それによりさまざまな不調が現れます。
代表的な大きな不調は次の3つです。
内臓下垂による不調
骨盤が開くことにより、骨盤という内臓を支える受け皿が横に広がるため、内臓も全体的に下垂すると言われます。
- 消化不良
- 胃もたれ
- お腹の張り(腹部膨満感)
- 便秘
- 尿漏れ
- 残尿感
など
姿勢不良からくる不調
骨盤が開くことにより、土台が不安定な状態になります。
その結果、下半身への血液循環がおかしくなったり、上半身の姿勢を保つことに負担が大きくなります。
- 腰痛
- 肩こり
- 頭痛
- 足のむくみ
- 冷え性
など
見栄えの変化
骨盤が開くことにより、お尻を中心に見栄えが大きく変化します。
- ぽっこりとしたお腹
- お尻が垂れる
- 猫背
- ガニ股
など
こうやって見てみると、
骨盤がおかしくなると
いろんな不調が見られるんだね
出産に関係なく、骨盤はやはり背骨を支える土台だから大事なんだね
このような不調が産後からあわられてきたら、骨盤が原因の可能性があります。
我慢せず、何か変だなと思ったら診察をしてもらうようにしましょう。
なぜ、産後の骨盤矯正は意味がないと言われるの?
先生、インターネットで調べたら
こんな予測変換が出てくるよ!
大丈夫なん?
グーグルで出てくる予測変換、、、それは、、、、
「産後骨盤矯正 意味がない」です。
骨盤矯正をしても意味がないと訴える方もおられます。調べてみると産後の骨盤矯正が意味がないと言われる理由は、いくつかの要因によるものです。以下にその主な理由を示します。
骨盤が開く理由はホルモンや筋肉によるものだから
妊娠から出産までに骨盤を開くために靭帯を緩めるホルモンが出てきます。
そして、出産後は骨盤を強く固定して、開いた骨盤を閉じるポジションを作り、靭帯が元に戻るのを待ちます。靭帯の力だけでなく、骨盤を絞める筋肉も大いに関係があります。
なので、骨盤に人の手を加えた刺激を入れても効果がないと言われるのです。
根拠不足
実際のところ、産後に骨盤矯正をしたグループと、産後に骨盤矯正をしなかったグループで腰痛や尿漏れによる訴えは、差がみられなかったとの記事もありました。
産婦人科で骨盤矯正のプログラムがないのはこのような原因があると言われます。
それなら、骨盤矯正をする意味はないんじゃないの?
そのようなお声が聞こえてきそうです。これに関していうのであれば私の意見は次のとおりです。
「骨盤を閉じるだけの矯正では意味がない」ということです。
は?産後の骨盤矯正なのに
『骨盤を閉じるだけの矯正では意味がない』って、、、
骨盤以外どこが悪いの?
このような声が出てきそうですね。
では、説明していきます。
骨盤が緩む原因と、骨盤が開いたままの原因をもう一度考えてみましょう。
1、ホルモンの影響
2、筋力の影響
でしたね。
ということは、次のように考えてみてはいかがでしょうか?
ホルモンの影響の場合
ホルモンの影響で正常に戻りにくくなっていると考えると、もともと患者様はホルモンバランスが悪いかもしれません。そうなると、出産前から生理不順や頭痛や便秘など自律神経の不調により生じる症状があったかもしれません。
となると、産後の矯正をする場所は、骨盤ではなく、出産前から生じていた不調の改善に関係する骨やツボが治療することがポイントになります。
筋力の影響の場合
もともと、患者様が妊娠前から運動する傾向があったのか?それとも学生時代から全く体を使うことが少なかったのか?その関係でも筋肉量が違うはずです。
もし運動する習慣がなく筋肉量が少ない場合、出産後の骨盤を閉じるためのポイントは、腹筋や臀筋などの骨盤周りの筋力を鍛えることに重点をおいたプログラムになります。
つまり
産後の骨盤矯正 ≠ 骨盤を人工的に刺激を加えるもの
と考えてほしいのです。
Q、 あなたが通うお店では、産後の骨盤矯正は、骨盤だけを調整していますか?
Q、 あなたが知っている骨盤矯正をするお店は、自宅でのセルフケアを教えてくれなかったですか?
この質問に共に「はい」との回答になっているのであれば、そこは失礼ですが、意味のない産後の骨盤矯正をしているのではいかと考えます。
まとめますと、産後の骨盤矯正は意味がないというのは、骨盤だけ矯正していたら意味がないということになります。
しっかりとアフターケアや、食生活の改善、ホルモンバランスを整えるような調整をすれば、産後の骨盤矯正は価値が出てくると思います。
あとは、業界的なキーワードによって、この形になっているのでしょう。
つまり、
「産後のメンテナンス」
「産後の体調管理」
「産後の骨盤矯正」
上記の3つのキーワードで検索を調べてみると、断然「産後の骨盤矯正」で検索される方が多いのです。
なので、施術院側も、このキーワードで新規見込みを作り、来院されてからしっかりと産後のメンテナンスや体調管理を行うはずです。
私たちが望むのは「産後の体調管理」で整骨院や整体院が上位に現れることですが、現実は難しいのです。その結果、「産後の骨盤矯正」を入り口にしている可能性が高いでしょうね。
しかし、全ての治療院がこのように理解しているわけではありません。コンサルタントの助言や流行りの言葉だからという内容で、産後骨盤矯正のコースを作っている院もあるのは確かです。
しっかり気をつけてお店を選んでくださいね。
ー この章のおさらい ー
- 骨盤矯正は意味がないと言われる理由には、骨盤だけを人工的に矯正しても意味がない(閉じない)
- ホルモンバランスが乱れている場合は、ホルモンバランスを整えるようなプログラムを入れること
- 筋力不足が見られる場合は筋力強化をつけることが大事になる
- 産後の骨盤矯正という考えより、産後の体調管理と考えて施術を受ける考えを持つこと
- コンサルトの助言や流行りだけで産後の骨盤矯正をやっているお店か、そうでないお店なのかは、どのようなプログラムをしているかを事前確認してお店を選ぶこと
産後の骨盤矯正はいつからOK?
産後の骨盤矯正はいつからやってもいいの?
結論から言うと、整骨院、整体院それぞれで異なります
産後の骨盤矯正は、国家試験ではない
各施術院で異なる理由には、骨盤矯正は国家資格ではないからです。
つまり、教えてくれた先生によって、考え方ややり方が異なります。
その結果、出産後、1ヶ月後からOKという店もあれば、出産後3ヶ月経過後と言う店もあります。
なので、産後に骨盤矯正を希望されるのであれば、通院しようとされている施術院のホームページや事前相談をしてみてはいかがでしょうか?
たな骨グループはいつからOK?
ちなみに、弊社たな骨グループでは、出産後1ヶ月後から、産後の患者様の不調改善をおこなっています。産後に生じる腰痛をはじめ、不眠などの改善、産後のメンタルを整えることなども一緒に考えた内容をおこなって参ります。
また、産後の不調を改善していくことを目的に行いますので、
・ たな骨式背骨・骨盤矯正
・ お灸
・ SOT
・ 筋肉をほぐす施術
などを中心に行うと思います。
※上記のメニューは一例です。一人一人に合わせて作成をしていきます。
次回の予告
いかがでしたでしょうか?産後の骨盤についてどのようなことが考えれられるのかとか、検索してよくわからなかった内容が少しでも、咀嚼してもらえたのであれば嬉しいです。
さて、次回の予定として
- 整体院で行う産後の骨盤矯正と整骨院で行う産後の骨盤矯正の違い
- 産後の骨盤矯正は医療費控除が対応できるのか?
- 産後の骨盤矯正は健康保険適応されるの?されないの?
- 自宅で行う産後の骨盤矯正のセルフケア(前編)
などを投稿していきます。
次回の投稿予定は1月15日(月)を予定しております。
お楽しみに